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　　最高気溫（１７）

　　世の中、いろいろな情報(bào)が多いけれど、その中で一番必要がないのが、梅雨から殘暑の間にかけての「最高気溫」ではないかと思う。気象庁が一生懸命に観測(cè)して、毎日、教えてくれるけれど、そのわりにはこれほど

　　みんな喜ばれないものはないからだ。

　　うんざりするほど暑い日、外を歩いていて、

　　「ああ、暑い」

　　といっている人を見(jiàn)ると、私はムカッとする。

　　「ただでさえ暑いんだから、それを再確認(rèn)するようなことをいうな」

　　と近づいていって説教したくなる。暑いても、

　　「本當(dāng)は、そんなに暑くないんだ」

　　と知らんぶりしていれば、何となく暑くないような気分になってくる。それがクーラーを使わずに生活している私の知恵なのである。

　　午後のいちばん暑い時(shí)間帯に、でかけなければならないとき、著替えながらニュースを見(jiàn)ていると、ごていねいに、

　　「これから都心では三十四度くらいまであがいそうです」

　　などアナウンサーが教えてくれる。しかしそういわれてもこちらはどうしょうもない。急にがっくりして、でかける気が失せてしまうだけだ。たとえば冬の場(chǎng)合は、寒くなるとわかければ、厚著をしたりできる。ところが夏の場(chǎng)合は、薄著にも限界があり、最高気溫を教えてもらっても、精神的にダメージを受けるだけ。知った分だけ、よけいに汗がにじみでてくるといった具合なのである。

　　いったい最高気溫を知って、気持ちがよくなる人っているのだろうか。たしかに近所の人と道で出くわして、何の會(huì)話のネタ浮かばない場(chǎng)合、付き合いをスムーズにするために、一役かうという利點(diǎn)はある。しかしその程度のものである。いちいち折れ線グラフで最高気溫の変化など報(bào)告してくれなくてもいい。

　　「夏は暑い！」

　　明快にただそれだけで、いいのである。